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DNP GLOBAL INTERIOR SEMINAR

海外展示会報告

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世界のインテリアトレンドを索引する展示会視察報告

2017年4月に開催されたミラノサローネなど、世界のインテリアトレンドを牽引する主要展示会の現地視察情報をお伝えしました。

講師:DNPすまいみらい研究所 國東 千帆里

1.ミラノサローネ2017のインテリアスタイル

今回私たちは、ロー・フィエラ会場で行われるサロン・デ・モビレ・ミラノやミラノの街中で行われているフォーリサローネを含め、約100件の展示を視察しました。DNPでは2016年のミラノサローネのトレンドに、成熟した大人のモダンスタイル、「マチュア・エレガンス」というキーワードを挙げていました。2017年は、マチュア・エレガンスから派生した「ソフト・エレガンス」「プラシッド・エレガンス」、それらに加え「トイボックス」というスタイルをキーワードにしています。

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2.サローネトピックについて

各ブランドのブースコンセプトについてインタビューを行い、注目した3つの傾向をご紹介します。1つ目は“Traditional meets New”。古くから培ってきた技術や伝統を踏襲しつつ、デザインやコーディネートで新しさを見せていました。2つ目は“About NATURE”です。各ブランド、様々な視点からナチュアルを表現していました。3つ目は“Mix Culture"です。特に1つの国に特化せず、アジア地域の国をミックスして展示しているところが多く見られました。現在イタリアでは、フード業界を中心に禅ブームというものがあるようです。シラタキをパスタ替わりに使う料理もあるとか。しかしこの食の分野を見ていても、純粋な和風スタイルというよりも、アジア各国の要素を盛り込んだオリエンタルスタイルです。インテリアに関しても、オリエンタルな雰囲気を演出するための要素として着物や松、漢字など和の要素を取り入れているように感じました。

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木質素材の家具に注目すると、樹種については、オークが最も多く、次いでウォールナットやアッシュ、ユーカリなどがみられました。いずれも、素材そのものの質感やカラーを生かした仕上げが多くみられました。石素材はサハラノワールといった大柄で高級感のある黒い大理石が多く使われていました。 2017年のカラートレンドは、ピンク、グリーン、イエローの3色と考えています。ピンクとグリーンはモダンな空間に合わせてグレイッシュな傾向で、アクセントとしてだけではなく、ベースカラー、アソートカラーとしても使われていました。一方、イエローは爽やかでフレッシュな印象のビビッドカラーで、アクセントカラーとして使用されていました。どれも新しい季節を思わせる春や初夏をイメージした明るい色合いだったため、Cherry blossom PINK、calm mint GREEN 、citrus YELLOWと名づけています。

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その他、同じくヨーロッパから、DOMOTEXとHeimtextilの展示会についてもトレンドトピックをご紹介しました。

3.アメリカのインテリア木質トレンドについて

場所を移して、アメリカで開催されたHIGH POINT MARKETとICFF(INTERNATIONAL CONTEMPORARY FURNITURE FAIR)の二大家具展示会を通して、アメリカのトレンドを見ていきたいと思います。アメリカの王道トレンド樹種の一つであるオークですが、かつてミラノサローネでも見られたグレーに塗装したものがアメリカでは現在の主なトレンドとなっています。アメリカ国内で豊富に調達できるパインは、炭化風合いをイメージさせる仕上げや、白塗装でエレガントなイメージのものが見られました。こういった仕上げは、欧州の家具ブランドがアメリカに台頭し始めていることが影響していると思われます。ヨーロッパでよくみられたウォールナットについては、アメリカではあまり人気がありません。いずれの樹種もナチュラルな風合いよりも、人の手が加わったことがはっきりと分かるような塗装やダメージ仕上げがアメリカではトレンドのようです。アメリカではペイントがしっかり施されたものやキズをそのまま活かしたものなど、人の手が加えられながらも、経年変化する木質をそのまま楽しむスタイルがトレンドであることがうかがえました。このように同じ樹種であっても、欧米では好まれる樹種や仕上げが異なることがわかります。

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4.欧米のデザイントレンドの違いについて

こういった欧米でのデザイントレンドの差異が生まれる理由は、歴史の時間軸に対する感覚の違いが影響しているのではないかと考えています。紀元前の建築物が未だに多く残るヨーロッパ。18世紀頃の建物も残りつつも近代的な高層ビルも多いアメリカ。当然、伝統的な技術や過去への懐古という考え方にも違いが生まれると思います。こういった歴史的背景を捉えた上で、デザインを見るとまた違った視点でデザインを楽しめるかと思います。DNPすまいみらい研究所では各国の歴史的背景も見つめながら、新しいデザイン、新しい技術と共に、更にはデザイナー、職人、ブランドの考え方にも注目をし、インテリアの未来を一緒に考えていきたいと思っています。