すまいみらい研究所 DNP

  • LINEで送る
 

ホーム みんなで考えるみらいのすまい 東京大学千葉研究室 共同研究 第1回 ミーティング

田中誠一、藤井裕友、大原千佳子、深田晶子(DNPすまいみらい研究所)
千葉学、成瀬友梨、海法圭、落合瞳子、千葉学研究室所属の学生の皆さん(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻千葉学研究室)
プロデューサー:安東孝一(アンドーギャラリー)
エディトリアルスーパーバイザー:寺松康裕(建築編集研究所)
ゲスト:久永一郎、鈴木守(大日本印刷C&I事業部)

去る5月8日、東京都文京区の東京大学本郷キャンパスにおいて、DNPすまいみらい研究所と東京大学大学院工学系研究科建築学専攻千葉学研究室による、「建具」をテーマとした共同研究の第1回ミーティングが行われました。

今回はコアとなるDNPすまいみらい研究所のメンバーと、千葉学研究室の学生・スタッフ、プロデューサー・コーディネーターのほか、大日本印刷C&I事業部でインタラクション・デザインを手がけている2名が参加し、幅広いディスカッションとなりました。

ミーティングはひととおりの自己紹介からスタートしました。
その中で、DNPすまいみらい研究所の田中誠一所長は次のように述べ、この共同研究への大きな期待を表明しました。

──この共同研究を通じ、私たちが求めていくべき次世代のすまいについて研究に取り組み、最終的には2年間の成果をなんらかのかたちでアウトプットをして、世の中に問いかけできたらいいなと考えております。(DNP田中誠一氏)

古今東西の建具から何を読み取るか

ディスカッションのスタートにあたり、千葉学教授より当日までに同研究室でおこなってきた作業や議論の内容について、解説をいただきました。

──建具はとても身近なものでありながら、今まできちんと見てこなかったのではないか、と考えました。この研究室にはさまざまな国からの留学生が多いこともあり、まずは学生それぞれが素材や機構も含め、興味深いと思った建具をサンプリングする作業からスタートしました。
特定の建具には絞らず、各自が興味深いものをまとめてきて、建具の可能性や面白さについて、ひとつひとつ議論を重ねてきました。今まで議論にのぼってきた建具について、素材や地域などを含めたデータシート化し、壁にひととおり貼り出していますので、本日は私たちがこれまでに行ってきた議論を共有できればと考えています。
また、建具についての議論を重ねるなかで、素材そのものの進化を見ることも、建具の参考になるのではないかということになりました。そこで急遽この1週間ぐらいで、最近のいろいろな新しい素材、それは必ずしも建築の素材に限らず、スポーツウェアなど、さまざまなところで使われている素材がどんな性能で、どんなことを試みているのか、ということをリサーチしています。(千葉学教授)

ディスカッションでは、まず学生がそれぞれの選んだ建具を発表した後、千葉教授や助教の成瀬友梨氏、研究を指導している非常勤講師の海法圭氏が、適宜補足説明を加えるかたちで進行し、DNPの参加者からも活発な質問が投げかけられる熱のこもったものとなりました。

見えてくる共通項

ディスカッションでは、建築家ジャン・ヌーヴェルやジャン・プルーヴェ(ともにフランス)の、メカニカルな機構を持つガラス建具や、構造家サンティアゴ・カラトラヴァ(スペイン)のヒンジを用いたシャッター、丹下健三氏による香川県庁舎のFRP製引き戸など、デザインされた機構を持つ建具から始まり、二重窓を用いた空調機能を持つ建具(ロシア)や、竹を編んだ建具(台湾やタイ)、日本の伝統的下地窓や大戸口まで、幅広い事例が紹介されました。

一連の建具を検証する中で、国や地域、時代の異なるものの中に、共通項のようなものが見えてきました。千葉教授は次のように語ります。

──外壁を構成している部材を間引いていくと窓になったり、透過性を持った表皮になっていくようなことは、国を超えて見られます。
編み込んだり、格子状のものは建具の原点のように思えます。単純な格子がどんな密度で、どんな材料で、どのように編まれているかということの違いだけで、劇的に性能が変わってくる。それだけでさまざまな地域の気候に応えているようなところに面白さを感じます。(千葉学教授)

格子状の建具の他にも、開閉によって機能が変わる「バンコ」(宮崎県日向市美々津)や、表裏で性能の変わる可動ルーバー(台湾)、建具のからくり機構を用いて町並みとの関わり方を変化させる都市住宅(ポルトガル)など、可変させることによって、すまいの使い勝手を向上させる建具や、モジュールの組み合わせで成り立つ建具も紹介されました。