すまいみらい研究所 DNP

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ホーム みんなで考えるみらいのすまい 東京大学千葉研究室 共同研究 第3回 ミーティング

田中誠一、大原千佳子、深田晶子(DNPすまいみらい研究所)
千葉学、成瀬友梨、海法圭、千葉学研究室所属の学生の皆さん
(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻千葉学研究室)
プロデューサー:安東孝一(アンドーギャラリー)
エディトリアルスーパーバイザー:寺松康裕(建築編集研究所)
ゲスト:近松惠吉、安齋英弘(DNP住空間マテリアル デザイン開発部)
星享(大日本印刷 住空間マテリアル事業部)

類型化で見えてきたことと、今後の展開

ディスカッション終了後、まとめの議論に移りました。まずは全体の感想が述べられました。

──普段、われわれのリサーチは「快適な暮らし方」ということをキーワードに、生活者の立場から「住みたい空間」というものを原点に進めています。それとは全く違った視点での試みはとても興味深かったです。
機能だけではなくデザインはどうするのか、ということも大切だと思います。機能とデザイン、そして人というところまで視野に入れ、最終的に良いものができれば良いと思いました。(DNP近松惠吉氏)

──われわれはどうしても顧客ニーズに目が行ってしまいがちなんですが、今日はもっと根本的なこと、例えば建築の在り方のようなお話しで、とても勉強になりました。われわれは実際に使う人が何を求めているのかとか、そういうことを普段リサーチしておりますので、お互いに情報交換ができたら良いなと思いました。(DNP安齋英弘氏)

──写真ではなかなか分からないところですが、機能という指標のほかに、例えばドアから感じる重さの感覚や、閉まる音の心地良さのように、インテリアとして人間の感覚に訴える部分が出てきても面白いと思いました。(DNP星享氏)

──基本的に進め方は良いと思うので、あとはどの段階でどう収斂させていくのかというところを、あと1、2回の中で考えていければ良いと思います。アウトプットとしては、特殊な場面を想定した特殊な建具というよりは、万人が身近に使えるようなものを志向したいと考えていますので、ある普遍性が獲得できれば良いと思います。(DNP田中誠一氏)

感想を受け、千葉研究室からはまとめと今後の展開について、コメントがありました。

──効果的な指標も多々あったので、今までの事例調査のまとめ方として、これをもう少し洗練させていくと、ひとつのまとまりをつくれるような気がします。議論が少し足りない部分もありましたが、興味深い視点もいくつか出てきて、今後の面白い議論にうまくつながっていくことが多かったように思います。前回からの流れで、いくつかデザインの提案もありましたが、そこでも新しい視点が出てきて面白かったです。類型化の作業はいったんこのくらいにしておいて、次回以降はまた具体的な提案の作業をやると面白いかも知れません。
今までのリサーチをベースに、建築や人までを視野に入れた提案をするということと、逆に今までDNPで蓄積してきたデータや試みについて、こちらがうかがう機会があっても良いように思いました。(千葉学教授)

──今日はモダニズムあたりの建具が抜けていることに気づけたことが、大きかったです。これからは環境の世紀といわれているので、モダニズムの建具を美学的ではない指標で見ていったときに、何が見えてくるのかというところに興味がわきました。(海法圭講師)

手仕事感と2割ターゲット

議論はさらに進み、欧州の自動車ではドアの開閉音やエンジン音がデザインされていること、それがプロダクトとしての商品価値に反映されていることから始まり、ユーザーの何を喚起するのか、といった話を通じ、単なる技術の結果ではない、感覚に訴えるデザインについて、話が広がりました。

──モダニズムの時代は、建具に限らずとても面白い試みが行われていたのに、現在は既製品ばかりになってしまったと感じています。ちょっとした手仕事感みたいなものが、今の既製品からは感じられません。この共同研究を通じて新しい製品を考えるときに、「The既製品」というようなものではなくて、例えば半製品のような、ユーザーに選択の余地を残すようなものが可能かどうか、考えてみたいと思いました。考え方にもよりますが、コアなファンに受ける製品もあると思うんです。(成瀬友梨助教)

──感動がないとだめですよね。それと感性に訴える部分が求められていて、例えば猪子寿之さんのチームラボ※9の作品は、驚くような新しい発想を見せてくれています。そういうものは生活者の2割ぐらいの方に受ければ良いと思うんです。8割はだめでも良い。そういう部分が今の時代には必要なのではないかと思うところもあります。(DNP近松惠吉氏)

2時間を超えたミーティングは、次回にむけた展開を描きつつ、終了しました。

※9 チームラボ
東京大学出身の猪子寿之氏らが立ち上げた、ベンチャー企業。様々な分野のスペシャリストを集め、WEB技術やアート、デザインやテクノロジーを融合させたものづくりを展開している。