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ホーム みんなで考えるみらいのすまい 東京大学千葉研究室 共同研究 第7回 ミーティング

田中誠一、廣部功、深田晶子(DNPすまいみらい研究所)
千葉学、成瀬友梨、海法圭、落合瞳子、田中義之、千葉学研究室所属の学生の皆さん
(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻千葉学研究室)
プロデューサー:安東孝一(アンドーギャラリー)
エディトリアルスーパーバイザー:寺松康裕(建築編集研究所)
ゲスト: 近松惠吉、安齋英弘(DNP住空間マテリアル デザイン開発部)
松村繁弘、山田浩之(大日本印刷ABセンター スマートシティ推進室)
横田孝子(大日本印刷ABセンター ソーシャルイノベーション研究所

暮れも押しせまった12月21日、DNPすまいみらい研究所と東京大学大学院工学系研究科建築学専攻千葉学研究室の共同研究第7回ミーティングが、東京大学本郷キャンパスで行われました。
2015年内最後となる今回は、DNPの各部署から5人のゲストを迎えての開催となり、さまざまな視点から盛んな議論が交わされました。

建具の未来を提案する

ミーティングはこれまでの研究をベースに学生が発想した、「建具」のアイデアを発表するところからはじまりました。
発表を前に、デザインの方針について講師の海法圭氏から解説がありました。

──今までの共同研究各回の議論をまとめてみると、みんなが課題としているのは「快適性」の話であるように思いました。機構を議論しているときは、操作のしやすさや触感の気持ちよさという「快適性」。「何を通して、何を通さないか」という話のときは、その土地の気候風土や温熱環境にどう対応するか、また「風を感じて気持ちが良い」ことなどの「身体的快適性」だと捉えられます。そしてストーリーが付随する商品開発という話題では「もの」だけではなく「こと」が連動している事象、例えば「所有する満足感」という「快適性」といったものを志向していたのではないでしょうか。
そこで「快適性」というキーワードから、今回の提案では「未来の快適性」をテーマにして考える方向性を設定しました。(海法圭講師)

発表では30を超える中から11のアイデアがピックアップされました。
集合住宅の専有部分と共有部分の物理的、感覚的境界をフレキシブルにする提案や、偏光フィルムなど、フィルター的なものを「建具」に使い、採光をコントロールする提案。そしてWebサービスのインターフェイスにヒントを得た収納建具や、機構や素材で壁面の粗密をコントロールし、視線や通風、光などをコントロールする提案など、幅広く完成度の高いアイデアが提示されました。

発表を受け、さまざまな感想が出されました。

──パブリックとプライベートを分けていく手法に、さまざまなバリエーションがあるということに驚きました。とてもリアリティのあるアイデアが多く、これは全て実現できるのではないか、やってみたら面白いことが起きそうな気がするというのが、全体の感想です。(DNP 山田浩之氏)

──これからの集合住宅の課題は、超高齢社会の問題とも密接に関わると思います。
それと同時に、パブリックとプライベートの間に、コモンスペース※1のような中間領域が求められるようになったとも感じます。その視点でも、公私の境界をフレキシブルに可変できるアイデアはとても魅力的だと感じました。
自宅を終の棲家とするなら、終末期に一時的に大きな医療機器を居室で使うことも必要になったりします。その時に隣人と中間領域を融通し合える仕組みがもしできたら、面白いと思いました。(DNP 横田孝子氏)

※1 コモンスペース
共有空間。集合住宅では共用の庭や通路などを示す。

──私はデザインをやっているので、どうしても表面処理やフォルムを考えることなどが中心になってしまうんですが、建築を学んでいる皆さんの発想は、空間の中でそれをどうするというところからはじまっているので、実現性や実効性は別に置きまして、より深いところからの提案になっているように思いました。(DNP 近松惠吉氏)

──「建具」でコントロールできることには「広さ」や「光」、そして「温度」。そのほかにも「臭い」などいろいろあると思います。「動くもの」あるいは「動かないもの」でコントロールできるものがいったい何なのか、もう少し整理するとわかりやすくなるように思います。恐らくそこには素材の問題が深く関わってくるかも知れません。(DNP松村繁弘氏)

──必要な機能を実現するためにどんな素材が必要か、というような考え方で発想しているような印象を受けました。典型的なコミュニティの活性化策のように、ある意味住民にコミュニティ参加を強いるようなアイデアではなく、気配を感じてもらうとか、コミュニケーションを求めているという意思が可視化されるようなアイデアはとても良いと思いました。(DNP田中誠一氏)