すまいみらい研究所 DNP

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ホーム みんなで考えるみらいのすまい 東京大学千葉研究室 共同研究 第8回 ミーティング

田中誠一、國東千帆里(DNPすまいみらい研究所)
千葉学、海法圭、東京大学工学部大学院の学生の皆さん(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻)
プロデューサー:安東孝一(アンドーギャラリー)
エディトリアルスーパーバイザー:寺松康裕(建築編集研究所)

DNPすまいみらい研究所と東京大学大学院工学系研究科建築学専攻千葉学研究室の「建具」に関する共同研究は2年目を迎え、これまでの成果をまとめていく段階に入りました。

本年度は夏に予定している展示発表に向け、大学院1年生の設計課題として「建具」に関わる提案を制作することになりました。千葉研究室の学生以外にも門戸が開かれた設計講座の課題です。留学生の受講生も多く、1年目の研究内容を踏まえ、より具体的に対象を設定して「建具」についての研究が進められています。

去る2016年5月24日、その中間的なエスキース・チェック※1のディスカッションに、DNPすまいみらい研究所のメンバーも参加しました。

※1 エスキース・チェック
デザイン検討段階での、業務責任者や教員による進捗や提案内容の確認と助言。「エスキース(esquisse)」はフランス語で「下絵」を意味する。日本では建築や環境デザインの計画初期に行われる、スケッチや資料作成によってコンセプトやデザインを検討する行為を指すことがある。

5つのターゲットモデル

設計課題とするにあたり、具体的なターゲットとして5つの生活スタイルが設定されました。

1. 地方にUターン※2した単身の若者(人口1万人程度の地方都市を想定)
2. 都市部に住む単身の高齢者(東京23区内など都心部を想定)
3. 地方にIターン※2した若者夫婦(人口15万人程度の地方中核都市を想定)
4. 多拠点生活をするDINKS※3世帯(海外も含めた複数地点を想定)
5. 就労を視野に入れた外国人留学生(大学のある都心部を想定)

現在、それぞれの学生が興味のあるターゲットを選択し、エスキースを進めています。具体的な敷地と対象世帯の生活スタイルが設定され、社会的課題への提案を含めた「建具」や「住まい方」の可能性を探っています。

エスキース・チェックの冒頭、講師の海法先生より課題の現状説明がありました。

──本日までに4、5回エスキース・チェックを重ねてきました。ターゲットの選択と詳細な敷地や世帯構成の決定に、やや手間取っていたところもありますが、そろそろ設計の段階に移ろうか、というところです。(海法圭講師)

※2 Uターン・Iターン
それぞれ居住し就業していた地域を離れ、他の地方に移住・就業することを指す。Uターンは主に出身地への移住と就業。Iターンは出身地に関係なく、現在居住・就業している地域から、他の地方への移住と就業を示す場合が多い。
※3 DINKS
Double Income No Kids(2収入、子ども無し)の頭文字をとった言葉。意図して子どもをつくらない共働きの夫婦や、その生活スタイル・価値観を指す。

社会背景を反映したターゲット設定

5つのターゲットは、千葉学研究室とDNPすまいみらい研究所との間でディスカッションを重ね、現代における社会的課題と、それに対する提案の可能性を吟味して決定されました。

それぞれのターゲットで想定している社会背景は、バリエーションに富んでいます。「地方にUターンした単身の若者」は、地方創成や過疎化、地域コミュニケーションの希薄化や生涯未婚率の上昇、「都市部に住む単身の高齢者」は、単身高齢者の増加と、高齢者が賃貸住宅を借りることの難しさ、「地方にIターンした若者夫婦」は、地方回帰や子育て移住、就職観の多様化、第1次産業(農林水産業)への意識の変化、「多拠点生活をするDINKS世帯」は多拠点居住や働き方の多様化、災害のリスクに対する備え、「就労を視野に入れた外国人留学生」は外国人留学生の増加や就労ビザに変更する留学生の増加をそれぞれ想定し、設定されました。
課題の背景に現実味を持たせることで、より具体的な「建具」や「住まい方」の提案を導き出すことが狙いです。